絵本イラスト・黒牛とメノコ

~黒牛とメノコ~創作絵本

ある夏の日の昼のこと

くろうしの背に乗り、ゆられゆられて、
売られてゆくのか一人のメノコ

空をあおいでメノコは思う

村よ田んぼよさようなら

こうして売られてゆくのなら
おらはあのトンビになって空を自由に飛んでいたい
いっそ一匹の魚になってこの川で自由にあそんでいたい

大きな大きな川をわたっていく黒牛とめのこ

ぽちゃん ぽちゃん ぽちゃん

メノコのこぼした涙は大河の流れの一滴となる

はっと人買いの男がうしろを振り向くと
メノコの姿はもう消えていた

あとには物言わぬくろうしがじっと立っており
川の流れるはげしい音がいつまでもどこまでも
続いているのだった

 

絵、文 弘中香織

黒牛とめのこ表紙

黒牛とめのこ道中

黒牛とめのこトンビ

黒牛とめのこ魚

黒牛とめのこ大きな川

黒牛とめのこくろうし

黒牛とめのこ月夜

 

YouTubeでも朗読動画を公開中です。

▼動画リンク▼

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です